Mating morning


城岩中では二年生の年間行事に移動教室という物があった。
学年全体で行く二泊三日の小旅行みたいなものなので、普段は学校の行事というとサボる事の多い桐山ファミリーの面々も、
この移動教室にはしっかりと参加していた。
その移動教室も、最後の日を迎えようとしていた。

三日目の朝。
部屋に差し込む朝日を受け、充は眉を顰め窓から顔を背けた。
昨夜は移動教室最後の夜だからと、こっそり持ち込んだ酒を皆で飲みながら夜更かししたのだ。
移動教室では各クラスで男女別に五〜六人のグループを作り、寝泊りする部屋はグループ毎に割り当てられるので
酒を持ち込んでも何の問題もなかった。
おそらく他のグループだって酒や菓子をこっそり持ち込んで真夜中のお喋りを楽しんでいたであろう。
起床時間までまだ二時間くらいある。
酒が入っている事もあるし、夜更かしした所為でまだ眠くて堪らなかった。
頭の中がボンヤリして、意識がハッキリしない。
起床時間ギリギリまで寝ていたいと思った充はそのまま深い眠りに落ちようとしていた。
しかし、体…特に下半身に妙な違和感を感じてなかなか眠れなかった。
何だか下の方がスースーして、ぬめぬめとしたものが自分自身に絡み付いているような気分だった。
それが夢の中の出来事ではなく、現実に起こっている事だと脳が認識出来るようになって、やっと充は目を覚ました。
目が覚めた充の目に飛び込んできたものは、不自然に盛り上がった掛け布団。
嫌な予感がして、充はガバッと布団を捲り中を覗き込んだ。
「みふりゅ、ふぉふぁよう」(訳:充、おはよう)
何と、自分の朝勃ちしたペニスにしゃぶりついている桐山と目が合った。
桐山はペニスを口に含んだまま、充に朝の挨拶をする。
「なっ…そんなトコで何やってんだよボスッ!!」
思わず叫んでしまい、充は慌てて口を塞いでキョロキョロ周りを見回した。
幸い、今の充の怒鳴り声を聞いても他の三人は目を覚まさなかったようだ。
もう一度布団を捲り、まだペニスをしゃぶり続けている桐山に、今度は小声で声をかける。
「ボス、何やってんの!?」
「フェラチオ」
「それは見りゃ分かるよ! 何でそんな事してんのかって聞いてんだよ!!」
「充の布団に潜り込んだら股間が膨らんでいたんだ。脱がせてみたら勃起していた。二日間セックスも自慰も出来なくて
溜まっているのかと思い、処理してやろうと思ったんだ」
「それは朝勃ちだよ!」
「そうなのか? 俺はてっきり充が誘っているのかと思ったよ」
「そんなワケないだろ。大体、移動教室中はエッチ出来ないからって出発の前の日にいっぱいしたじゃないか!!」
「しかし、俺は充と二日間セックス出来なくて溜まってしまったようなんだが…」
「ボスのも朝勃ちだよ! おしっこすれば元に戻るから、トイレ行ってきなよ!」
「俺もそう思って先程行って来たんだが、尿を排泄しても元には戻らなかった。こんなになったままだ」
そう言いながら、桐山は充の足に股間を擦り付ける。
足に桐山の熱と固さを感じ、充は困惑したような表情になる。
桐山がもぞもぞと這い上がってくた。
「そういう訳だ。充、セックスしよう」
「ボスのバカ! 何考えてんだよ!! みんなが周りで寝てんだぞ!? 目を覚ましたらどうするつもりだよ!!」
「それなら大丈夫だ。実は昨夜飲んだ酒、俺と充以外の分に一服盛らせて貰った」
「は?」
「睡眠薬を少し…起床時間になっても起きれるかどうか俺にも分からない」
「それっておもいっきり計画的じゃん! ゆうべから俺とヤる事考えてたって事じゃんか!」
「………細かい事は気にするな」
「するよ! それに布団とか汚しちまったらヤバいだろ!!」
「抜かりはない」
そう言って桐山はパジャマの胸ポケットをゴソゴソと漁ると、コンドームを二個取り出した。
「俺にも充にも付けてすれば布団を汚さなくて済む。使用済みを入れておくビニール袋も用意してある」
桐山の片手には小さなビニール袋が握られている。
「使用済みをビニール袋に入れておいて、後で外出した時捨てれば教師にも見付からないだろう? 何か他に問題はあるか?
ウェットティッシュも用意してあるぞ」
「え、えーと…うーん…」
ここで何か問題点を指摘しないと、桐山は何の躊躇いもなくこの場でセックスを始めるだろう。
充は必死に考えたが、桐山の行動を止められる程の問題点は思いつかなかった。
「ないなら、するぞ」
桐山は布団から顔を出し、両手で充の顔を掴んだ。
「ちょっと待った! 移動教室中はエッチしないって約束で前の日にいっぱいしたのに、約束破る気か!?」
近付いてくる桐山の顔を押さえつけながら、充は最後の抵抗をする。
「…二日間、キスも充に触れる事も出来なくて、よく分からないがいい気分ではなかった」
「えっ…」
桐山に悲しそうな表情でそう言われ、一瞬ドキッとしてしまう充。
桐山はその隙を逃さなかった。
充の顔を掴む手に力を入れ、そのまま強引に口付ける。
「ん…」
充にポカポカ胸元を叩かれても、決して桐山は唇を離さなかった。
諦めたのか、充の手が止まる。
桐山は一旦唇を離し、充をじっと見つめた。
「もうこれ以上我慢出来そうにない…」
囁くように言うと、桐山は充に再び口付けた。
今度は唇を割って舌を口内に挿れてくる。
二日ぶりの桐山の唾液の味に、充はゾクリとした。
桐山も充の口内を味わうように、隅から隅までたっぷりと舌を這わせる。
口の中を掻き回され、半開きになった充の口の端からツツーと唾液が滴り落ちた。
桐山は滴り落ちたその唾液をペロリと舌で拭うと、もう一度充に口付けて今度は充の舌に自分の舌を絡ませた。
お互いに擦り合わせるように舌を動かす。
充がおずおずと桐山の首に手を回すと、桐山は両手で充の頭を抱えるようにして更に深く口付けた。
くにくにと舌を動かす度に口内に互いの味が広がり、昨夜酒を飲んだ時よりも頭の中がボンヤリとしてくる。
朝日の差し込む狭い部屋の中に、桐山と充が互いを貪り合う音と三人の寝息だけが静かに響いていた。
充の口内を十分に堪能し、満足した桐山は充の口を解放した。
そして、酒に酔ったみたいに顔を赤くしてポーッとしている充のパジャマに手をかけ、ボタンを一つずつ外していく。
上着の前を開かれ、肌が朝の少し冷たい空気に晒され、充はハッと我に返る。
「ボス、これ以上は…」
言いかけた充の口を手の平で塞ぐと、桐山はそのまま充の鎖骨にちゅ、と軽く口付ける。
手の平から充の体がピクリと動いたのを感じた。
鎖骨に舌を這わせると、充の体が細く震える。
もう片方の鎖骨や首筋にもゆっくりと舌を這わせていく。
「ふぅ…っん…」
桐山の舌が充の体に触れる度、充の口を塞ぐ桐山の手の平の下からくぐもった吐息が漏れ聞こえてきた。
愛撫によって硬度を増してきた胸の突起に指先で触れると、充は一層体を震わせて反応を見せる。
「んっ! くぅ…」
紅い実に桐山が白く綺麗な歯を立てると、充の体が大きく跳ねた。
カリ、カリ、と強めに歯を立てたり、舌先で円を描くように撫で回し、その度にピクン、ピクンと跳ねる充の反応を楽しんで
いるようだった。
充の体に舌先を触れさせたまま、徐々にずり下がっていく。
桐山が手を離しても、充の口からはもう拒否の言葉は発せられなくなっていた。
ハァハァと荒い息だけが吐き出されている。
充が息を吐く度に上下する腹は、反り返ったペニスの先端から溢れ出る露で少し汚れていた。
ペニスに触れないようにその腹の上の露を舌先で掬う。
「ひゃぅ! はぁ…」
舌先は触れていないが、桐山が僅かに吐いた息を先端に受け、充はそれだけで反応してしまった。
それを見た桐山は、露でベトベトになっている先端に息をふぅっと吹きかける。
「やっ…アァッ!」
目覚める前からの愛撫ですっかり敏感になってしまっているのか、充の体は桐山の息だけで過剰な反応を見せる。
固く張り詰め、欲望を吐き出したくてピクピクと痙攣するそれを、桐山はそっと口に含んだ。
「あぁぁ…」
ペニス全体にねっとりとした愛撫を受けた充の口から歓喜の声が上がる。
桐山が舌先でペニスの先端の切れ込みをそっと押し広げると、奥から新たな露がじわりと滲み出てきた。
「うぅ…ん…」
尿道を舌先でぐりぐりと愛撫され、声を上げそうになった充は両手で口を塞ぐ。
桐山は充を楽にしてあげる為に唇を使ってペニスを扱き始めた。
桐山の頭が上下に動く度に、充は口を両手で押さえたままイヤイヤをするように激しく首を横に振った。
充の限界が近いのを感じ取った桐山は、ちゅぅぅぅっと先端を強く吸い上げて射精を促す。
「んぐっ…、う…ん、んーっ!!」
ペニスを吸い上げられる刺激に耐え切れず、充は声を漏らさぬように歯を食いしばったまま桐山の口内に熱く白いトロみを
解き放った。
充のペニスがビクビクと痙攣する度に桐山の口内に青臭い雄の味が広がる。
桐山は尿道に残った精液を全て吸い上げると、射精後の萎えて縮こまったペニスを口から離し、ぐったりしている充から膝辺りまで中途半端にずり下ろされていたズボンと下着を脱がせる。
そして充の足を大きく開き、飲み込まずに口の中に残しておいた精液を物欲しそうにヒクヒクと蠢く秘部に舌で塗り付けた。
「やぁ…ボスやだ…」
舌先が秘部に入り込む度に、充は体を捩らせて悶えた。
中に押し込んだ精液が垂れてこないように中指で栓をすると、桐山は充の隣に体を横たえた。
「俺のも少し触ってくれ」
そう言って空いている方の手で充の右手を掴むと、自分の股間まで導いた。
充が軽く揉むようにそこに触れると、桐山はうっと小さな声を漏らす。
下着の中に手を入れて直に触れると、そこは先走りによってヌルヌルになっており、石の様に硬く張り詰めていた。
先走りを指に絡めてサオ全体を扱いてやると、桐山の鼻息が荒くなってくる。
桐山の硬い漲りに触れている内に充も興奮してきたのか、萎えてだらんとしていたペニスが再び熱を持ち始めた。
桐山は充の中に挿入していた中指をゆっくりと動かして自分の巨塊を受け入れられるように解していく。
「アッ…あぅ…ボス…」
ぬぷぬぷと桐山の中指が出入りする度に充のペニスが少しずつ体積を増し、反り返ってくる。
完全に勃起する頃には、桐山への愛撫の手はすっかり止まっていた。
桐山は充の中から指を抜き、白く汚れた部分をペロリと舐めると、胸ポケットにしまっておいたコンドームを取り出して封を開ける。
それを充のペニスに装着してあげた。
初めて付けたコンドームは思っていたよりもキツく、ペニス全体を締め付けられているような気分だった。

こんなにキツいなら、ボスがゴムつけたがらないのも分かる気がする…

桐山がズボンと下着を脱いで自分自身にコンドームを装着している間、充はこんな事を考えていた。
コンドームを付け終えた桐山は充に覆い被さり、すっかり解れた秘部に己の先端を当てがう。
そのまま桐山が腰を押し進めると、くすんだ色の肉口に桐山のペニスが飲み込まれていく。
「ア、ア、ア、ア…」
充は内股を震わせながら、桐山を根元まで受け入れる。
全てを充の中に収めた桐山は、バッと二人の体を隠していた掛け布団を剥ぎ取った。
「ボ、ボス! それはマズいよ!!」
「何でだ? 動くのに邪魔なんだが」
「だって…」
二人共下半身には何も身に付けておらず、充は上着も肌蹴ていて全裸に近い状態だった。
しかも合体しているのだから、もし三人の内誰かが目を覚ましたり、教師が見回りに来て(早朝は教師も寝ているようなので
見回りに来る事はまずないが、全くないとは言い切れない)見付かったら言い逃れは出来ない。
「大丈夫だ。ずっと我慢していたから、俺はそんなに長く持ちそうにない。すぐ終わる」
「でも…うわぁ、あぁぁっ!」
充の意見など無視して、桐山は腰を動かし始めた。
桐山が言った通り今は余裕がないのか、いつもに比べて腰の動きが乱暴だった。
すぐ隣に友達が寝ている状態でおしりを犯され、充は複雑な気分だった。
こんな所を見付かりでもしたら、恥ずかしくて二度と顔を合わせられないかもしれないのに、ごく僅かだが、桐山に犯されている所を見られたいという気持ちが充にはあった。
普段は何に対しても無関心な桐山が、こんなにも激しく自分を求めている。
普段は仮面でも被っているかのように無表情な桐山が、額に汗を滲ませ息を弾ませながら自分を貪っている。
そんな他の人よりも特別に扱われている自分を見られたいと、少しだけだが思ってしまっていた。
少しだけなので、一番近くで寝ていた博が寝返りを打った時は口から心臓が飛び出しそうなくらい驚いてしまったが。
「充…締め過ぎだ…」
驚いた時に秘部がキュゥッと締まってしまったのだろう。
痛かったのか、桐山が眉を顰めながらそう言った。
「だって今、博がこっち向いたから焦っちゃって…」
「セックスの時は他の奴の事を考えるな」
桐山は、困ったように周りをキョロキョロと見回している充の顔を自分の胸に埋めるようにギュッと抱き締めた。
「ボス…」
「俺とのセックスに集中しろ」

これってヤキモチ?
ボス、ヤキモチ焼いてるのかなぁ…

桐山の口調が少し怒っているように感じられた充は、桐山がヤキモチを焼いているのだと思い胸がキュッと苦しくなった。
「充、また…」
「ごめん…だって何か嬉しかったから…ボス、大好きv」
充は桐山の背に両手を回すと、その体をギュッと抱き締めた。
桐山は充が嬉しいと言った理由が分からず首を傾げていたが、充に好きと言われ抱きつかれて悪い気はしなかった。
体を密着させたままピストン運動を再開する。
「はぅ…ボス…俺ん中にボスが出たり入ったりしてるよっ…俺ん中、ボスでいっぱいになってる…」
「んっ…あ…アァ…充…」
「ボスッ…ボスゥ…すご…いい…」
密着している所為で充のペニスに桐山の腹が擦れ、その刺激がまた充の快感を高めていく。
「イッちゃう…ダメ…もうダメ…イクゥゥゥゥゥーーーッ!!」
「…………ッ……くぅ…うっ!!」
二人はほぼ同時に薄いゴムの膜 の中に熱い精を解き放った。
達した後も、二人はしばらくの間強く抱き締め合って互いの鼓動を感じていた。

六時になり、宿舎全体に起床時間を知らせる音楽が流れる。
「う…ん…もう起きる時間なのぉ?」
音楽が耳に入り目が覚めたヅキがゆっくりと体を起こした。
「あー…何か頭が重い…一服盛られた感じだわ。お酒はちょっとしか飲んでないのに変ねぇ…」
フルフルと頭を横に振って眠気を振り払う。
「ほら、竜平クン、博クン。あなた達も起きなさい!」
とりあえず近くにいた竜平と博の背中を叩いて起こそうとするが、二人共全く起きそうにない。
「もう、しょうがないわねぇ…あ、桐山クンと充クンは?」
昨夜寝ていたはずの場所に二人の姿がなく、部屋の中を見回すと一番端の布団で二人が寄り添って寝ているのが見えた。
「あらあらv 二人共同じ布団で寝てる。ラブラブねぇ。こっそりイケない事してたりしてv」
ヅキはクスクス笑いながら二人に近付き、寝顔を覗き込む。
その寝顔は、先程までの激しい行為が夢の中の出来事であるかのように穏やかな物だった。
「こうして見てると、二人共不良とは思えない程可愛いわねぇv 何だか起こすのが可哀相になっちゃう。もう少しだけ寝かせて
おいてあげましょ」
ヅキは二人の寝顔を見て優しい笑みを浮かべると、先に竜平と博を起こそうとその場を離れた。
「ボスゥ…好き…」
「ん…充…」
深い眠りについていて無意識のはずなのに、お互い身を寄せ合って束の間の眠りを堪能するのだった。

+ + + + + +

タイトルの「Mating morning」は造語なんで、辞書とか翻訳ソフト使っても意味は調べられないですよー。
「Mating season」が「発情期」という意味なので、「朝っぱらから発情してる」という意味に取って下さいませ。
こんな事したら普通はバレるんじゃないの!? というツッコミはいらないです(苦笑)
最後のシーンのボスと充は、後始末を全部終えてパジャマを着直した後、まだ時間があったので布団の中でイチャイチャしてる
内に眠ってしまったのです。
後始末は終えてるからヅキにはバレてませんよー。
本当は移動教室ではグループ毎に部屋を割り当てられるのではなく、男子と女子は別の階で1クラスの男子(もしくは女子)
全員が広くて大きな部屋に寝泊りするんですよ。
でも、そんな状態でのエッチはさすがに無理があるんで、グループ毎に部屋が違うという設定にしてしまいました。
起床時間も、私が小・中学生の時は一部屋ずつ先生が起こしにくるんですが、専門学校の研修では大音量で校歌が流れるという凄い状態だったんで(笑)、それをマネしてみました。
移動教室と言えば、初日の夜は必ずと言っていい程カレーライスだったんですが、今でもそうなのかな?
山登りしたり、球技大会で汗を流す桐山ファミリーはちょっと想像出来ない…(苦笑)
話を戻しますが、ボスは一回じゃ物足りなかったんだけど、それ以上するとさすがに見付かりそうだから我慢したんですよ。
移動教室が終わって学校に戻って来て解散した後、充の家(ラブホでも可)に行って三日分たっぷりエッチしたんです。
「家に帰るまでが遠足」なのにね(笑)



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